出会ってから24年。菅大智と奥山利徳のふたりは、いかにしてゴールデンシルバーズとなり、いかにして1stアルバム『Yesterday And Today』を完成させたのか?ふたりの歩みと現在の思いに迫るため、ロング・インタビューを敢行!今まで明かされなかった数々の秘話が白日の下に!?
Interview & Text by 竹内伸一 / Photo by rei
─ 第3回 振り返れば奴がいなかった ─ゴールデンシルバーズ爆誕!
それで、もうメンバーを集めるのは大変というか、僕らの敬愛するデキシード・ザ・エモンズがメンバーは2人、サポート・ベーシストでライヴをするというスタイルだったので、我々もそうしようと。それがゴールデンシルバーズです。
自分としてはふたりでやるのが一番しっくりきたんですよね。
はじめの頃はライヴの度に知り合いのベーシストに声をかけていたんですけど、最近はずっとイチローくんにお願いしていますね。年齢が一緒ということもあってか、馬が合うと言いますか、鹿が合うと言いますか(笑)。非常にやりやすいんです。いつもニコニコしていますし(笑)。メンバーになってもらいたい気持ちもあるんですが、イチローくんからしたら、ゴールデンシルバーズのメンバーになるメリットがないよね(笑)。彼もいろいろなバンドをやっているし。
そうだね。でも、立候補してくれるのを待っているよ、俺は(笑)。
──とはいえ、ふたりでやるというのは、やはり身軽でやりやすいのではないですか?
今はもう曲を作るにしても、ベースに関してはイチローくんにお任せで、もちろん、今回のアルバムでも弾いてもらいましたし。でも一方で、サポートという立場なので、僕らが意見を言いやすいという面もあるんです。なかなか自分の意見を主張しない秋田県民としてはやりやすいです(笑)。2人の音楽性の追求という意味でも、このやり方は良かったと思います。
音楽を聴いていて、その人なりのアプローチの演奏が出てくると面白いなと思うし、好きなんですけど、いざ、自分のこととなるとちょっと違うんですよね。潔癖というか……(他の人のアイディアを)あまり受け入れられない(笑)。
でも結局、意気地がないんですよ(笑)。ケンカする勇気がない。
そうだね、人とモメてまで我を通したいとは思わないから。以前は、バンドってそういうものだと思っていたんですよ。他人の意見を尊重してこそというか。でも今思うとストレスだったのかも。
──今、ふたりの間で意見が分かれることはないですか?
僕は彼が持ってくる曲をなんとか形にしたいと思って取り組むわけなんですけど、彼にはその時々にマイブームがあるんです。それが自分とうまくかみ合わないことはありますね。なんとかしてみようとはするんだけど、しっくりこないとか。そういうときは、無理にやろうとせずに、とりあえず置いておいて、他の曲をやるようにしています。
僕の方も、彼に無理やりわからせようとは思っていないんで。
それと、僕らの場合は、ライヴでやりながら曲を育てるという感じなので、最初はしっくりこないかなと思っていても、ライヴでやっているうちに良くなることもありますね。
──2012年には菅さんがドレスコーズに参加したことをきっかけに、ゴールデンシルバーズとしては活動を休止するわけですが……。
タイミングがあえば並行してやりたかったんですよ。ただ、メジャーで活動したこともなかったですし、活動ペースもわからなかったので、とりあえずストップしていたんです。(ドレスコーズの活動に)慣れてきたら、またやりたいなと思っていて、そろそろと思っていた矢先に、ドレスコーズを辞めることになりまして(笑)。じゃあ、また始めようと。
──正直なところ、奥山さんはドレスコーズが始まって、どう思っていました?
自分のバンドができなくなっちゃったんで、それはね……。メンバーを集めて新しいバンドをやろうかなとも思ったんですけど……。
友達がいないから、そういうわけにもいかなかった(笑)。
僕は中学から彼としかバンドをやったことないんです。だから、他の人とはバンドができないというか、(彼以外のメンバーとバンドをやる)やり方がわからない(笑)。
そうか、どうしたらいいのかわからないまま、(休止していた)2年が過ぎてしまったわけだ(笑)。
いや、3年だよ(笑)。
──昨年、久々にゴールデンシルバーズとしてやってみて、お互いの変化は感じました?
僕は以前どんなふうにやっていたか、わからなくなっちゃったんですよ。自分でやりながら“あれ?なんだか大人しくなっちゃったなあ”なんて思いました。ドレスコーズでは僕なりに考えながらやっていて、やっぱり“自分のドラムはうるさいよなあ”なんて思うことも何度かあって。僕は昔からそんなに曲全体のことを考えて叩いていないんです、多分(笑)。The Whoがドキュメンタリー映画『The Kids Are Alright』で”メンバーで誰が一番目立つか”みたいなことを言ってましたし、それがロックだと思っていました(笑)。自分なりにはドラムで歌っているつもりなんですが、メジャーでやっている内にもっと曲全体のことも考えてやった方がいいだろうと思うようになりました。そういう経験を経て戻ってきたら、以前のような爆発感がうまく出せなかったんです。再開してから1年くらいになりますけど、ようやく感覚が戻ってきたところです。良いか悪いかわかりませんが、ようやく野良犬感が出てきました(笑)。
──そういう変化は感じましたか?
いや全然(笑)。
イチローくんには言われましたよ。“やっぱメジャーにいくと違うな”って(笑)。
ゴールデンシルバーズ

奥山 利徳(ギター&ボーカル)、菅 大智(ドラム&コーラス)による2人組のロックバンド。1977年、秋田県の南に位置するパンクロック発祥の街・デトロイトにて出生。
デトロイト中学(校歌がLAUGHIN’NOSEの「GET THE GLORY」)2年生の時に出会いバンドを結成。メンバーとバンド名を変え続けながら、以来二十数年経過。
2006年、クダラナさのあまり愛想を尽かされ遂にメンバーは2人だけとなりゴールデンシルバーズを名乗り始める。(ライブはサポートベーシストを交えての3人編成)
2012年から菅がドレスコーズに参加するためにゴールデンシルバーズは音楽活動を休止、楽器をグラスに持ち替え飲酒サークルとして都内を席巻する。2014年9月に菅がドレスコーズを脱退したため同12月24日にライブ活動を再開。
スージーキューティー Music Video
1st Album『Yesterday And Today』

2015.10.21(wed) Release
redrec/sputniklab inc.
RCSP-0062 ¥2,400-(本体+税)
- 【収録曲】
- M-01. 悲しき残念賞
- M-02. 人喰い族
- M-03. スージーキューティー
- M-04. オリワモウダミダ
- M-05. Dr.スケベハカセの秘密の診療所
- M-06. シーマイソウル
- M-07. ヤンナッタ
- M-08. ひるね
- M-09. アブラアセ
- M-10. ロックンロール
- M-11. ヒップス・アー・オールライト
- M-12. キーポンバーニン